『龍蛇神 -諏訪大明神の中世的展開-』

龍蛇神: 諏訪大明神の中世的展開 (樹林舎叢書)

龍蛇神: 諏訪大明神の中世的展開 (樹林舎叢書)

以前なけなしの図書カードを使って購入した『龍蛇神 -諏訪大明神の中世的展開-』を先日読み終えた。著者は「Suwa-Animism/スワニミズム」の会長、原直正氏。

内容は、第一部は諏訪大明神信仰と宇賀神信仰の共通点を示唆し、諏訪大社のお鉄塔や七石信仰、本宮拝幣殿の方角の謎等を解き明かすという物。
第二部は八龍神社と七年毎に新しい物に替えられる御柱の循環構造の謎を陰陽道的観点から解き明かすという物だった。

第一部に関しては弁財天と同一視される宇賀神と蛇神たる諏訪大明神の関係が精緻に論じられており、非常に面白かった。
ただ、その内容から仏教用語が頻繁に登場するため、スキーマが不足しているように感じた。

第二部に関しては明確な根拠が示されているというよりは、「こういう捉え方も出来る」の枠を出得ない様な気がした。
自分の思考力不足かもしれないが…。

少なくとも第一部に関しては非常に参考になる書籍であったが、諏訪の地元来の蛇神信仰であるミジャグヂ神に関して殆ど触れられていなかったのが残念でならない。

宇賀神が鎮めた蛙の姿をした荒神と、諏訪大明神タケミナカタ神が鎮めた洩矢神=ミジャグヂ神が同じものなら、蛇神ミジャグヂ神が蛙の姿へと変貌していった過程が疑問であった。


後々吉野裕子氏等の書籍を調べた上でその疑問と東方projectを絡めた考察を書いていきたい。