三浦佑之、赤坂憲雄著 - 「遠野物語へようこそ」

遠野物語へようこそ (ちくまプリマー新書)遠野物語へようこそ (ちくまプリマー新書)
(2010/01)
三浦 佑之、赤坂 憲雄 他

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中間前日で死にそうですが書きたかったので…。

遠野物語とは、岩手県遠野に伝わる怪奇的な話を佐々木喜善という人物が語ったものを、かの高名な柳田国男が書き残したものです。

遠野物語へようこそ」は、遠野物語への登竜門としての目的で書かれたものとなります。

遠野物語を読み解く上で非常に重要となるのが、遠野物語上の119話、並びに遠野物語拾遺299話のほぼ全てが所謂「昔々〜」の話では無く、あくまで「目前の出来事」としての話であるという点です。
佐々木喜善柳田国男が生きた明治〜大正はあくまでもたった100年程度前の話であり、よくあるお伽話・昔話のような勧善形式の"伝承"とは全く別物であるという事を強く意識させられます。

事実、遠野物語作中には家名や実名がたくさん出てきますし(河童の子を孕む女の話等がその最たる例でしょうか)、姥捨て山デンデラ野の話等は強烈なまでのリアリティを持っています。吐き気がするぐらいに。


またこの遠野物語はZUN氏にも多大な影響を与えているわけでして、マヨイガデンデラ野、東北地方の土着神であるオシラサマなど、東方好きなら思わずニヤリとするお話が多くて読んでいて飽きないです。


ほんの少し以前まで、日本のどこにでもあった"怪異譚"に触れてみる価値は大きいですね。