助動詞「る」

古典文法の助動詞には「る」と「す」という物がある。
「る」の基本の意味は受身・可能・自発・尊敬、
「す」の基本に意味は使役・尊敬である。

この二つの助動詞の共通点はどちらも主語が動作の主体ではないという事である。

又これらの語の成り立ちは
「流る」「流す」
「通る」「通す」
「返る」「返す」
という様に動詞の活用語尾が変化していった物と考えられてる。

上記の動詞の例を見ても分かる通り「る」は自然発生的な動作に使われ、「す」は人為的な動作に使われる助動詞である。

「す」の使役に尊敬の意味が付随するのは分かり易いが、なぜ「る」にも尊敬の意味が存在するのか、というのが疑問点であったが、先日の予備校の授業で納得が行った。

「る」には自然発生的な動作を指す、すると何か超常的・神秘的なもの、つまり"神"による動作を指すようになるのだ。
特に古来日本人は農耕民族であるため、農作物の出来=人々の生活も"神"次第という事になるのは他の地域がそうであるように必然である。

神様次第というイメージから可能や尊敬の意味が発生してくるのだ。

故に元来「る」の助動詞の持つ尊敬は他の尊敬語よりも一層重大な物として扱われていたようだ。
しかし平安期以降は尊敬の中でも最も軽い敬意を表すようになっていった。

また現代語で頻繁に使われる「行ける」「書ける」等の所謂「可能動詞」は助動詞「る」から派生したものではなく、「得」という動詞との複合動詞が派生していったものである。


※ブログタイトル変更しました。